言葉と教育 中島和子(トロント大学教授・カナダ日本語教育振興会名誉会長)
海外子女教育振興財団というところから出ていて、Amazonでは見つからなかった。
「海外で子どもを育てている保護者のみなさまへ」
というサブタイトルがある。
かわりにこういう本は見つかった。
バイリンガル教育の方法―12歳までに親と教師ができること
中島 和子

今回読んだ本は、どうやって二ヶ国語の習得を成功に導けるか。子どものアイデンティティをどう育成していくか、がテーマとなっている。
研究成果を元に客観的な分析がなされている。
まず重要なのが母語(日本人にとっての日本語)がいかに重要かという説明がある。
あのヘレン・ケラーの話にもあるように、初めて「水」ということばを覚えるためには、流しの水、プールの水、雨の水、コップの水、シャワーの水などいろいろな形の「水」をまずは実際に体験しなければなりません。この体験を通して、子どもは「ハハー、こういうものを水っていうのかな」と見当をつけ、実際に使ってみては、人の反応を見ながら確かめる-というような過程を経て「水」ということばが定着していくのです。
中略
外国語、第二のことばの場合どうでしょうか。この場合は、初めての言葉を習うときに必要だった体験全部を繰り返す必要はありません。"water"ということばを覚えるのは「水」よりずっと簡単なのです。
0-4歳の時期に海外に出た場合、母語の発達がうまく行かないことがあるという。この状況で、両方の言語の発達が不十分になってしまう恐れがある事例が挙げられている。
下の娘はまさにその年齢である。
母語の発達がまずは重要なのである。なるほど。
そして面白い話があった。
母語に加えて外国語に堪能になるためには、幼稚園から初めて約5000時間必要だといわれています。
(英語が第一言語でフランス語を学ぶ場合のため、日本語ー英語ではそれ以上が予想されるとのこと)
またある日本人学校では小学校から週何回かの英会話の授業を設けているようですが、これも直の交流と組み合わせであれば、効果があります。が、教室の中だけでは、ネイティブの教師に教わっても、そんなに上達するということは考えられません。1年から6年まで週3回英語の授業があったとしても全部で500時間にもならないからです。
最近では小学校5,6年で週に一時間英語の授業をやる学校もあるようだが、まあその効果も怪しいもの、ということであろう。
日本の中高生の、中途半端な先生による、中途半端な英語の授業が、いかに日本人の英語上達に貢献していないかは実績の通りである。
これらの授業による目標とか、達成レベルとかがしっかりと定義されていない状況なのだから仕方もあるまい。
私は大学で第二外国語でドイツ語を選んだが、今は何も覚えていない。
こういう無駄な、見せ掛けだけの教養を強要するのはいい加減やめればいいのではないのか。
日本人も英語が不要だと思う人に勉強させる必要は一切ない。私のドイツ語と同じ運命をたどるだけだ。時間の無駄というものだ。
自分の子どもには必要と思う親は、5000時間が必要だという実績ベースで作られた合理的な方法論を子どもに適用すべきなのである。
その中途半端な英語の授業でもある程度出来ている人もいるではないか、という意見もあるだろうが、それはあくまでも個人個人の気合でやってきた部分であろう。
興味深いテーマなので、続けます。
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