進まないプロジェクトに業を煮やした社長から直々に指示が出た。
「インドのベンダーを活用せよ」
まずは紹介されたベンダーとの打ち合わせに行ってこいという。
これに対するF部長の行為は、致命的であったと思う。
それまでも数々の致命的なことをやってはいたようだが、これは、え?と思うような対応であった。
その下打ち合わせに、F部長本人ではなく、課長を行かせてしまった。
なぜか。
このF部長、英語が出来ないのである。
超ドメスティックな人だったのだ。
一方課長は海外留学経験もあって英語は問題なかった。
だが、最終的な判断は出来ない。
課長は帰国後、F部長と相談した。
勿論、英語を使いたくないので、F部長は海外の組織と係わり合いを持ちたくない。
結論は、
「使えない」
となった。
勿論、実際に使えないベンダーだったのかもしれない。
遅々として進まない重要プロジェクトをどう打開するか、その代替案も出せぬまま時間だけが過ぎた。
問題点は、開発以外の要素も多々あった。
例えば組織のしがらみから来るものだったり。
同情できる点は多々ある。
しかし、トップからみて、重要プロジェクトの社長直々の命に対して、この消極的な対応はどう映ったか。
最後には、大方の予想通り、トップはこの組織の解散を決めた。
解散といっても実質的には組織の再編とマネージャー入れ替えである。
F部長の華々しいサクセスストーリーも、この瞬間に終わったのであった。
後にF部長、うわさでは英会話教室に通っているとか。
遅いって。