予算も増え、色々な部隊を併合し、巨大組織を作っていった。
一年もしないうちに、100人のエンジニアを抱える部署の部長となった。
ちょっと前まで5人ぐらいの課長だったのに、だ。
重要プロジェクトを任されたものだから、社長と同席することも多々あったようだ。
「社長はこういってたけどね。僕はそうは思わないなー。」
とか、会議で得意満面でやっている。
もう気分は役員候補か。
しかし、これまでA社まかせで、実力も技術力もないのに、運とはったりで来たのである。すぐにぼろが出始める。
社内のエンジニアは外注のように言うことを素直に聞くものでもない。
それぞれが、良かれと思って色んなことを言うし、やりだす。
それに対してびしっと方向を決めて、有無を言わさず開発を進めるられるほど、説得力も、判断力も、決断力も勿論ない。
A社もこうなっては役に立たない。
いくら金をかけても遅々として進まないプロジェクト。
方々から上がるクレーム。
それでも、この圧力を抑えて、プロジェクトを成功させれば、F部長、確かに出世間違い無しだろう。
どうなるか、F部長、人生の瀬戸際である。