F課長はソフトウェアに造詣が浅かった。いわゆる、パワーポイント系であった。だが、A社はそこから仕様書をおこし、開発を進めてくれるタイプの会社だった。
その小さなプロジェクトの開発は、無事終わった。(ビジネス的には失敗だったが)
そこへ、たまたま本社直轄の大プロジェクトが発足する。
しかし、誰もやったことが無かったのでハンドリングできない。
そこへF課長、自分がやったプロジェクトとタイプが近かったものだから、それをアピールしまくった。
この人技術力はないが、しゃべりは達者だった。論理的というわけではないが、よくしゃべって、相手を煙に巻くタイプだ。
ある日、私に
「CMMって何?」
と世の中的にはCMMが結構一般的になっているころに暢気に質問してきた。
そのときは、適当に流していたが、その一週間後、
「えーCMMというのはですね、..」
と昔から知っていたかのように部長に講釈しているではないか!
すごいはったり力だ。
その甲斐あって、トップの目に付く。そして、予算が付き始めた。さらに、部下も増えだす。
A社もフル活用である。
サラリーマンで、のし上がっていくというのはこういう幸運とはったり力に支えられている面があるのだなあ、と思ったものだ。