2006年05月18日

村上龍 「盾・シールド」を読んで

4344011449シールド(盾)
はまの ゆか
幻冬舎 2006-03-24



人にはやわらかいコアの部分があって、それを守る盾・シールドが必要なのだ。という仮定に基づいて書かれている。

私なりの解釈としては、人には色んなシールドが何層も必要でそれらをうまく管理しておくことが、幸せとか心の安定につながる、というものだ。

シールドになりうるものは、
人種、国、出身地のようなものから、金、会社、仕事、学歴、友人、スキル、コミュニティなどさまざまだ。

主人公のうちの一人のキジマは会社という大きなシールドを頼り、他のシールドをないがしろにして生きる。そのシールドがなくなった瞬間にコアがさらされてしまう。

一方コジマにとってシールドとして見つかったものは、
シェパード(やりがいのある仕事)、ドイツ語(仕事に役立つスキル)、妻(コミュニティ、パートナー)であった。それはどれもそう簡単に手に入るものではない、という。

会社の中で30代後半以上の人を見ると、キジマ的な人はいまだに多い。

一方でシリコンバレーエンジニアにとって、会社はシールドにはならない。それは当然で、いつでも首になるからである。むしろスキルとか、キャリアを形成するための存在である。
シールドを造る上での会社の存在意義がまったく異なっている。

高校生が必死で携帯メールをやり取りして、希薄で膨大な友達関係を築こうとするのもシールド形成のための作業であろう。
自分も赴任して、しばらくすると、日本からのメールが減っていった。これには当時は妙な不安感を覚えた。
一言も発する事無いのに、会議に多くの人が座っていたりするのも、自分が必要とされていると思いたい行為の現れであろう。スケジュール帳が予定で一杯で無いと不安なのも同じく。

ただ、こういうシールドは、組織や環境が変わった瞬間に無に帰す。

どういうシールド形成をすれば費用対効果が大きく、継続的に効果があるか。どこに、時間と労力を割き、メンテナンスするのが意味があるか。
そこをちゃんと考えて生きよう、というように解釈できた。

人にとってシールドが必要なら、より効果的なシールドをつくりましょう、と。外側も内側もバランスよく。

会社をやめて、移住して、独立する、という行為は日本人的にはもっとも強固な外側のシールドをことごとく取り外してしまう行為に他ならない。よほど内側のシールドがしっかりしていないと出来ないことだなと思う。

本当に自分は大丈夫なのだろうか、と不安はないわけではない。
しかし、しっかりと他のシールドが形成され、今後も維持できるであろうという自信はある。
だからこその決断だなと思う。


タグ:村上龍
posted by りもじろう at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | なぜ移住・独立しようと思ったのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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