小学校3年の娘が最近学んでいるテーマは、南極についてである。カナダでは北極について授業でかなり時間を割いていたのだが、NZでは南極が重要なのである。
1901年にスコットが南極へ向かうディスカバリー号でクライストチャーチ郊外のリトルトン港に着岸した経緯があり、現在も南極探検の基地となっている。
ある期間、授業は南極についてばかりやっている。地理、気候、ペンギンなどの生物学、探検の歴史などを科目を超えて取り組む。
探検家がどうやって南極に向かったか。どういう生き物がいて、そこから何をとって食べていたかなどだ。図工ではペットボトルを使ってペンギンを作成する。
そして宿題にはこんなものが出た。
1914年に出たロンドンの新聞の求人広告である。南極大陸の端から端の探検を目指すエンデュランス号の乗組員の募集である。
5000人もの応募があったなか、27人が選ばれたという。
Who were these men?
What qualities and skills did they have?
Why were they chosen?
どういう人物が選ばれたのか、どういうスキルがあったのかということを調査し、レポートを作成し、他の生徒にプレゼンテーションしろという。
生徒ごとに違うクルーが指定してある。
その際にクルーの家庭環境はどういうものだったのか、どこで生まれて、なぜ探検に応募したのか、どういうスキルで彼らは選ばれたのかを簡潔にまとめること。写真なども用意すること。レポートはA5サイズにまとめること。各種情報はインターネットで、となっている。
それぞれのクルーの情報量もばらばらだし、これという正解は見出しにくいのだが、それをレポートとプレゼンという形でまとめさせる。
非常に多面的に一つのテーマについて扱うということが興味深いし、娘も毎日南極について学んだことを一生懸命教えてくれる。
考えてみれば世の中、科目のような切り口だけで独立した事象を扱うことよりも、ある問題を多面的に捉える必要性のほうが高いのだから、こういうアプローチでものを学び、考える習慣は意義があるのではないだろうか。
新 13歳のハローワーク
村上龍 はまのゆか
【ニュージーランドの生活の最新記事】
子供たちはどう学ぶべきか?とのコラムですが、私は日本の教育などではなく、NZの教育を受けたかったと実はこのコラムを見て心底思います。
日本の場合は、暗記が主でこういう自分で調べて発表するというものはほとんどやりません。今からの教育はマルバツ式ではなく、こういう自分で調べて自分で発表をして、どんどんいいところを増やしていくというものが理にかなっていると思います。