最先端のウェブサービス開発の現場は、とてもアウトソースなんかできない状況になっている。「仕様書を文章で作って、それを誰かが作る」なんていう悠長なやり方は通用しない。どんどん機能開発して、どんどんリリースして、ユーザーのフィードバックを元にさらに進化させる、というのを、毎日行い続けないとならない。私が働いていたカナダのベンチャーもNZのテレコム系の会社も下請け、孫受けである。
どちらもインフラ系のシステムで、業務内容が大規模、複雑で仕様が比較的安定しているためか、仕様書ベースでのシステム納品を行っている。ウェブサービスのスタイルとは違う。
しかし、下請けといっても日本のそれとはかなり違っていることが経験してみて分かった。
・上から下への丸投げはない。
・社員の給料は上も下もそれほど変らない。
・勤務時間も変らない。
・休日数も変らない。
・上から下、下から上への人の異動(転職)も頻繁に起こる。
・なので上だから偉いと勘違いして威張っている人もいない。
下へ行くほどコンポーネント開発であり、上にいくほど設計規模が大きくなるという守備範囲の違いがあるだけだ。
というわけで下に行くほど奴隷的扱いの日本式下請けとは随分と違う印象である。
そのため仕事がほしいから、何が何でも安く受注するということもなく、価格以外にシステムのアーキテクチャ、パフォーマンス、メンテナンス性などの性能ベースに他社と競争することで受注競争に勝つというスタイルである。
NZの会社は自分たちのシステムをシンガポールなどに売り込みにいったりもしており、現在の発注会社べったりというわけでもないし、人の派遣などもない。
従業員が上も下もほぼ同等の扱いなので、安く受注して死ぬほどサービス残業させるというスタイルで仕事を押し付けられない。
そんなことをしてしまえば社員は一瞬で居なくなるので経営者にとって、そういう選択肢は存在しない。
なので、受注が減って経営が厳しくなると上だろうが下だろうがレイオフするだけだ。
会社間も会社と社員の関係もあくまでも疎なのであった。
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僕のいるウェリントンは政府系の仕事が多いのですが、あまり『下請け』として仕事を受けてる会社をみたことがないです。以前居た会社は市内で中規模でしたが、IBM、Unisysなどの日本ではSIerと呼ばれるような会社と競合していました。
その会社がそれなりに実績を積んでいたということもありますが、発注する側に大きな会社に頼むほうが安全という意識も、日本に比べれば薄いのではと思います。