ここで私が入社したときの契約に問題があった。
契約書には、3年以内に自己都合でやめた場合、日本からの移住にかかった費用(引越し、渡航費、ビザ関係費用)を返さなければならないという項目があることである。
こちらとしては永住権取れるまで辞めるつもりもなかったし、2年で会社がここまでだめになるとも思っていなかっため、軽くサインしていたのだ。
会社の業績が悪化して、日本向けのサポートチームをどんどんクビ切りしてしまったため、サポート、ドキュメント翻訳、プリセールスなどでほとんど忙殺される毎日であった。
デベロッパとして採用されたのに、これではあんまりだというのが、こちらの不満である。これは、サポート業務やドキュメント業務を軽視しているわけではなく、自分のスキルを活かせない仕事に不満があった。
そんな状況のため、辞めたからといって費用を返せといわれるのは納得できない。
さっさと先に辞めてしまった、ロシア系カナダ人の友人に愚痴ってみた。すると彼からの反応は、
「いい弁護士を紹介してやるよ。その弁護士は、自分の友達がクビになったときに会社から退職金を何か月分も多く取ってくれたんだ。」
私「え、弁護士?弁護士費用って高いんじゃないの?」
「会社からとるから問題ないよ。勝てない勝負はしないらしいし。」
私「なるほど。それは面白い。」
というわけで、早速その弁護士、グラハムにアポイントメントをとって会いに行った。
痩身にびしっと黒のスーツをきめて、うっすらとあごひげをはやした、渋いおやじであった。
私「シニアデベロッパの肩書きで採用されているのに開発以外の仕事ばかりをやらされていて。これは契約違反じゃないですか?辞めたいんですが。」
グラハム「契約の資料を見せてくれるか。」
私「これです。費用を返せというのがあって。」
グラハム「仕事内容については訴えられない。それは会社の権利だから。それに自分で辞めたら、やはり移住の費用は返さないといけないな。」
私「ああ。やっぱりそうですが。」
グラハム「この会社都合でクビになった場合の条項について説明は受けたか?」
私「いえ。ドキュメントにサインしとろ言われただけで。」
グラハム「サインしたときに、カナダの解雇条件のこの項目の内容について知っていたか。」
私「いえ、知りませんでした。」
グラハム「ふーむ。」
ここでグラハムにやりとニヒルな笑み。
グラハム「勝てるな。やろう。」
まじか。やけに渋いぞグラハム!
つづく
【カナダの生活の最新記事】
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