2010年08月25日

移住したい国ランキング?

変わったランキングが出ていたので見てみた。
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各国で移住を完全に自由にした場合、人口がどう変動するかというランキングだ。

これに反応する朝鮮日報の記事が興味深い。
韓国は人口が8%減ると予想され、調査対象国中の50位だった。この順位は、中国・インド・ロシアのほか、ザンビア・ナミビア・南アフリカ共和国などのアフリカ諸国、トルクメニスタン・タジキスタン・ウズベキスタンなどの旧ソ連諸国よりも低い。韓国の経済規模が昨年、世界15位だったことを考えると少々意外だ。

韓国的には非常に残念がっているようだが、人口の比率としてどれだけ増減するか、なので人口が少ない国が上位に来るのが当然だと思うのだがどうなんだろうか。

移住したい国ランキングとしてみたいなら、それぞれの人口をかけて、どれくらい人口の絶対数が増減するか見ないと意味がない気がする。
NZ思ったより人気ある!と盛り上がっている移住ブロガーも散見されるが、増減数でみる人気ランキングだとこうなるはず。
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やはりアメリカが一番。これなら納得できる。
いずれにせよ、日本は移民受け入れを緩和しても人口の増減ではあまり変わらないであろうという結果なのである。
有能な移民を受け入れたいなら、このランキングがもう少し上位にこないとなんともならないということだけは分かる。そして前回の調査が+5%だったことを見ると移住先として魅力が無くなっていっているようである。
posted by りもじろう at 18:39 | Comment(11) | TrackBack(2) | ランキング・指数 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

子供たちはどう学ぶべきか

娘たちの現地校での学習を見ていると、何を学ぶかということも然ることながら、どう学ぶかということも考えさせられる。

小学校3年の娘が最近学んでいるテーマは、南極についてである。カナダでは北極について授業でかなり時間を割いていたのだが、NZでは南極が重要なのである。
1901年にスコットが南極へ向かうディスカバリー号でクライストチャーチ郊外のリトルトン港に着岸した経緯があり、現在も南極探検の基地となっている。

ある期間、授業は南極についてばかりやっている。地理、気候、ペンギンなどの生物学、探検の歴史などを科目を超えて取り組む。
探検家がどうやって南極に向かったか。どういう生き物がいて、そこから何をとって食べていたかなどだ。図工ではペットボトルを使ってペンギンを作成する。

そして宿題にはこんなものが出た。

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1914年に出たロンドンの新聞の求人広告である。南極大陸の端から端の探検を目指すエンデュランス号の乗組員の募集である。
5000人もの応募があったなか、27人が選ばれたという。
Who were these men?
What qualities and skills did they have?
Why were they chosen?

どういう人物が選ばれたのか、どういうスキルがあったのかということを調査し、レポートを作成し、他の生徒にプレゼンテーションしろという。
生徒ごとに違うクルーが指定してある。

その際にクルーの家庭環境はどういうものだったのか、どこで生まれて、なぜ探検に応募したのか、どういうスキルで彼らは選ばれたのかを簡潔にまとめること。写真なども用意すること。レポートはA5サイズにまとめること。各種情報はインターネットで、となっている。

それぞれのクルーの情報量もばらばらだし、これという正解は見出しにくいのだが、それをレポートとプレゼンという形でまとめさせる。

非常に多面的に一つのテーマについて扱うということが興味深いし、娘も毎日南極について学んだことを一生懸命教えてくれる。
考えてみれば世の中、科目のような切り口だけで独立した事象を扱うことよりも、ある問題を多面的に捉える必要性のほうが高いのだから、こういうアプローチでものを学び、考える習慣は意義があるのではないだろうか。


新 13歳のハローワーク
村上龍 はまのゆか
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posted by りもじろう at 15:04 | Comment(1) | TrackBack(0) | ニュージーランドの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月04日

日本の行政単位

NZは今年10/1から消費税が12.5%から15%に引き上げられる。他方で、所得税を減税するという。
またタバコ税の10%増税が4/28に行われたが、2011年、2012年の1/1にそれぞれ10%上げることが決まっているという。

こういう話を聞くと、小さい国は動きが速いなあという印象である。NZは日本で言えば静岡県ぐらいの人口規模だ。県議会レベルだ。

カナダの場合も国土こそでかいが、州という小さい行政単位での独自性が非常に印象的だった。
例えばオンタリオ州では酒は州の決めた直営店でしか売ってはいけない。店員は公務員である。なのに車ですぐに行ける隣のケベックにいけばスーパーでも酒が買える。
オタワは公用語のフランス語を小学校から授業に積極的に取り入れているが、他の州ではフランス語をほとんど勉強しなかったりする。標識や信号の形すら違っている。
移民の受け入れについても州別選択移民プログラムがあって、基準が州によって異なっている。つまり貧乏な州は人を集めたいので基準がゆるかったりする。人口3000万ちょっとの国でも13の州に分けて独立性を維持し、それぞれの置かれた環境にあった政策を実行しているのだ。
勿論この独立性のために面倒なこともあるが、アメリカ、カナダで生活してみて、それほど大きな問題を感じたことはなかった。

オーストラリアとNZは相続税を廃止したが、これはかつてオーストラリアのクィーンズランド州が先立って相続税を廃止したため、南部からクイーンズランド州に引っ越す人が増えて、結果的に他の州も廃止していったという。
住む側が自分にとってベストの州を選べるという状況が、地域間での市場原理を生み出すという例だろう。

日本はこうした小さな行政単位とは対象的に中央集権的な運営がされているが、世界的に見て、日本の規模はどんなもんなんだろうか。
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OECD各国の人口順のリスト上位である。(各データはWikipediaより抽出)地方行政区分をみると、上位の大きな国の多くが連邦制(表中青)をとっている。連邦制といえば通常、外交と軍事を除く独立した主権国家の連盟である。
国の次が県の単位の国は日本、トルコ、フランスの順となる。

連邦制でない国の人口と連邦制の国の最大州の州の人口とを比較してみると、OECD諸国の中では、行政単位としては日本が最大といえるだろう。
となると、やはり関わる利権も最大規模ともいえるので、利権に群がる人々は絶対にそれを離したくないであろうことは想像に難くない。
であるからこそ、現在の仕組みが現状から何も変えさせないという壮大なパワーの源泉となっているのであろう。

こういう状況では、地方分権だの、構造改革だの叫んでみても、結局は何も変わらずゆっくりと低迷していくしかないのだろうか。
posted by りもじろう at 08:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュージーランドの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする