2010年07月19日

インフレの国のデフレ

アゴラにデフレは不況の原因ではないというエントリーがあったので、私が今住んでいるNZの物価変動の内訳はどうなのだろうかと思って少し調べてみた。

NZといえば、先進国の中ではオーストラリアに次いで政策金利の高い国である。(現在2.75%)この不景気でもインフレな国と言えよう。

inflation.jpg

6月の消費者物価指数(CPI)は前年比で1.8%増であったが、これにはタバコ税や運送コスト上昇や、電気代、家賃、住宅価格などを含む非貿易財(non-tradable)が多く寄与している。

cpi.jpg

年間で見ると、マイナスは食料品(-0.7%)、AV、コンピュータ機器(-17.5%)、通信費(-2.0%)などが、プラスは国際線航空運賃(+16.1%), タバコ(+9.3%)などが大きい動きだ。

一方、不動産の年変動率は全国平均で+5.2%であり、
annualpropertyvaluechange.jpg

リーマン以降の一時的なマイナス局面はあったものの、現在プラスに転じている。

houseprice.jpg

これは恐らく移民による人口増がかなり寄与しているものと思われる。
annualpopulationchange.jpg

大雑把にいえば、消費者物価はガソリンの値上がりや増税でプラスになっているが商品やサービス自体は下落しており、インフレの国でもこの傾向は日本のデフレと大差ない。移民による人口増によって成長率をプラスに維持できているのであろう。
よって、人口が減少していく状況でデフレから脱出するのは、非常に困難なことであることが見えてくる。

ちなみに最近我が家で買った新製品は、

ファンヒーター $9(約540円)
オイルヒーター $19(約1140円)
oilheater.jpg
子供用自転車 $99(約5940円)
大人用自転車 $119(約7140円)
bike.jpg
である。電気製品などが比較的高いといわれるNZでも、商品のデフレの波は避けられないようだ。勿論、ほとんどの工業製品を輸入に頼っているNZとしては、悪いことではない。



posted by りもじろう at 11:15 | Comment(0) | TrackBack(2) | ニュージーランドの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月07日

子供たちは何を学ぶべきか

カナダにいたときも、ここNZでも、娘たちは平日は現地校に通い、土曜日に補習校に通っているので、国による学習内容の違いについて、いつも興味深く見ている。
補習校では日本の教科書を使っている。普段は市販の日本の教材も使って勉強している。

日本の教科書は私が子供のころに比べてカラフルになっていて楽しく学べるような工夫がされているのは分かるが、内容については基本的には昔と大差ないようだ。
そこで日本の教材には、どうしても疑問に思ってしまうことがある。

例えば、今娘が勉強している地図記号などそうだ。
mapicons.jpg
http://www.schoolicons.com/

学校で習って以来ほとんど使ったことがないのだが、これを現代において覚える意味がよく分からない。いっそGoogleMapの使い方を覚えたほうが意味がある気がするのだが、どうなのだろうか。

振り返ってみると、古文とか漢文とかもはなはだ疑問である。中身が重要なら現代語訳で読めばいいだけなのではないか。レ点とか、日本独自の読み方を学ぶ意味が分からなかった。
何も実用性がないものは学ぶ意味が無いといいたい訳ではない。言語の成り立ちを学んだりすることは言葉を理解する上で重要であろう。
高校以上の数学だって、論理的思考を発達させる意味において重要であるわけだし。

学習において実用性だけを問う必要がないことは重々承知しているが、脳への刺激が同等に得られるのであれば、実用的なものの割合をもう少し増やしてもいいのではないだろうか。

グローバリゼーションが進むことで、先進国においてはデフレが進行し、失業して生活に困窮することがあらゆる業種であり得る時代である。そんな時代に中途半端な記憶力のトレーニングばかりがどれほどの助けになるのか考えさせられる。

要はプライオリティなのではないだろうか。どんなことだって出来ないより出来たほうがいい。山手線の駅名も全部そらで言えたほうが言えないよりはいいのだろうが、言えたらどうなんだろうか、という話だ。

小学校3年の娘の現地校の課題をみて少し驚いた。
How to write and present an effective speech.
いかにして効果的なスピーチを準備し、表現するか。

We give the Year 3 children the experience of learning and presenting to an audience.
3年生の子供たちに、聴衆にプレゼンテーションをする経験をしてもらいます。

Rules for the speech competition are:
> Children can select their own topic
> Reading, poetry, props and singing are not allowed
> Notes and cue cards are encouraged ( but not read)
> Speeches must be two minutes long
> Content, posture, clarity and performance are very important

弁論大会のルール
>話すトピックは自分で選べる。
>著作物は認めない。
>ノート、キューカードを作ることはお勧め。(でも読んではいけない)
>スピーチはきっかり二分で。
>話の内容、姿勢、明瞭さ、パフォーマンスが非常に重要。

Speeches should include:
> An exciting opening statement
> Key points (the body of the speech)
> Links between ideas
> A summary
> A closing statement which will be remembered by the audience

スピーチで必要なこと
>面白いオープニング
>キーポイント(スピーチの中心となるもの)
>アイディア間のつながり
>結論
>聴衆が記憶に残るような閉めの言葉

Children select a topic that not only interests them but has a wide appeal to an audience.
児童が選ぶトピックは自分が興味のある話というだけでなく、聴衆に広く興味を持たれるものであること。
小学校3年生だと人前で喋るだけでも中々緊張してうまく出来ないような年齢だろうに。内容は私が会社の研修で初めて受けたものと同等レベルだ。
娘はこのお題目に向けて特訓中である。ひたすら一生使わない事柄を暗記する勉強と、どちらがこれからの人生に役立つのか、考えさえられる教材なのであった。

ちなみにNZの学校にはカリキュラムはあるが規定の教科書はなく、学校、先生の裁量でこうした課題が設けられるのも面白い。


posted by りもじろう at 09:14 | Comment(10) | TrackBack(5) | ニュージーランドの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする