2010年05月25日

『英語の早期教育を進めるべきだ』に賛成

英語の早期教育を進めるべきだ - 小田切尚登
こちらのエントリーを読んで、まったく私も同意見である。
勿論そうでなければ、私自身英語圏の国に移住して、子供を現地校に通わせたりはしない。
1)外国語を早い時期、例えば小学生時代から学ぶと、言語能力に悪影響が出る。
カナダでも首都であるオタワでは、英語とフランス語の早期教育を進めている。すばらしいのは、英語が母語の人は小学校低学年からフランス語で授業が受けられるが、高学年になってから、という選択も可能なことである。
母語がしっかりと根付いていない子供の場合や、言語能力の差によっては、低学年から複数の言語を習得するのが難しい場合も見受けられた。なので、そういう子供の場合は、低学年では一日一時間のフランス語の授業から始められる。
こういう選択肢が用意されれば、母語形成の妨げになるという問題は解決するであろう。

一方で日本の小学校の英語教育で、週に数時間の授業というのは、多分ほとんど意味が無いだろうし、それでは早期教育とすら呼べないだろう。やるならシンガポールやカナダ、ヨーロッパのいくつかの国のように徹底的にやるべきだ。
2)外国語が下手でも日本人は立派にやってきたし、やっていける。
.. 良いものを作っていれば黙っていても海外から製品を買いに来る、
私がソニーにいたときも同じ意見の人は結構いた。ある部門長なども、
「英語なんて下手でも通じりゃいいんだよ。」
といって意味不明の英語を手振り身振りで堂々と喋っていた。

しかし、それはあくまでもソニーの看板があってこそ話を聞いてくれるのである。
普通にあの程度の英語しか喋れない人が営業しに行っても、誰も話を聞いてはくれない。
我々の子供たち世代が仕事をするころに、下手な英語を打ち消すほどのブランド力のある会社が存続しているとは限らない。
3)英語が必要なのは日本国民の一部だけなので、それ以外の一般人は英語を習う必要がない。
仕事の選択肢が広がるという意味では全員必要かと思う。
しかし仕事に活かすとなると、中途半端な英語力ではこれからますます意味がなくなってくるであろう。
なので仕事の選択肢が少なくてもいい、日本語限定で問題ないという特殊な環境の人は、いっそ英語をまったく勉強しなくていいオプションがあってもいいように思う。

幸い8歳と5歳の娘たちの母語である日本語は、今のところ年相応に発達している。日本のテレビなども見られる環境にしているため親以外の日本語もよく覚える。
(クレヨンしんちゃん以外で「おら」っていう日本人には会うこともないだろうし)
補習校での週一回の授業や日本語の教材などでの自宅学習、寝る前の読み聞かせなどをしているのも役立っているようだ。

こちらのエントリーを見ると、NZでは日本語は結構人気があるらしい。
この新聞記事によれば、現在NZ国内のSecondary School(中学・高校→NZにおける外国語学習者の最も多い年齢層)における中国語学習者は約2000人(近い将来5000人には増やそうという思惑があるそうです)だそうで、一方で、フランス語は約27000人、日本語は約17500人というデーターが出ています。
娘たちには中学になって本人がやりたければ、中国語やフランス語を勉強すればいいと思う。そうすればさらに仕事の選択肢だけでなく、色々な文化への理解が深まり人生がより豊かになるに違いない。

外国語習得についての以前のエントリーはこちら
posted by りもじろう at 14:39 | Comment(6) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月11日

ガラパゴス化する日本の開発環境

とある日本企業との仕事で衝撃を受けたことを前回のエントリーで書いたのだが、より驚いたのが、それに対していただいたコメントやはてぶのほとんどが別に驚きもしない、うちもおなじ、というものだった。
・いや、おそらく日本では普通だと思います。
・そもそも人事部が採用する時に、技術スキルの高い人は取ろうとしませんし、ユニットテストのような基礎知識さえも全く知らない人が大半を占めます。
・見直すための工数は悪、辻褄合わせるのが正義。
・以前、某ERPパッケージの下請けで働いていましたが、テストを手動でやり続けるのに嫌気がさして、辞めました。あれは鬱になる...。
・日本では専門家を軽視して、「ビジネスゴールを最優先して考える俺は偉い。技術馬鹿、専門馬鹿とは違う」っていうタイプの人材が評価される組織が結構多いのですよね。
・あるあるすぎて、笑えない。
・請負的な開発はこういった傾向が強いと思う。残念ながら。
・全部該当しててどうしていいかわからないw
・プロのプログラマーって、存在しないからな。キャリアがそもそも確立していない。
・あぁ、似た様な状況が嫌で撤退する自分としては、どこに行っても同じなんだなと痛感するとともに、もう少しマシな技術者になろうと思うのであった。
・似たような話はよくある まじでヤバイ
・少なくとも私の周りではよくある話…
どうやら日本のIT企業の多くは同じようなやり方で開発をしているらしい。
前職とその関連企業でも同じような有様だったのだが、あれから何年も経っているのに何も変わっていないということは確かなようだ。

私が今まで関わった会社は日本以外ではアメリカ、カナダ、ニュージーランドでそれぞれ働いた会社と、関わったパートナー企業があり10社程度は開発のスタイルを見てきたことになる。
日本以外のそれらの会社ではほとんど当たり前にやられている基本的なことが、日本企業の多くではまったくなされていないということになる。
勿論各社毎に細かい違いはあるにせよ、ドキュメントを自動生成する仕組みや、ソース管理や、ユニットテストなどがきちんと出来ていないということは皆無であった。マネジメントやアーキテクトが居ないということもあり得なかった。

考えてみるとシリコンバレーには世界中からエンジニアが来ていたし、オタワやオークランドでも同様であった。彼らは自国に戻ったり、他の会社に移ったりすることも多いので、人の行き来によって世界的にスタンダードな開発手法のトレンドというものが構築されていくのだろう。
三カ国を見ただけで全世界的なものとして論じるには無理もあるが、少なくともエンジニアの求人広告を見れば、他国でも同じように人のスキルを見て採用していることが分かるので、そこから開発スタイルが容易に想像できる。

一方で日本の求人広告では
・高卒以上 実務経験ある方・未経験の方、どちらも歓迎
・高卒以上 PCやシステムが少しでも分かれば未経験でもOK!
・経験年数不問
などというキーワードが並ぶ。笑ったのは
・経験10年以上のベテランも歓迎(35才未満)
という意味不明なものまであった。
これでどうやって効率的な開発が可能なのかまったく想像できない。

こうして見ていると日本のエンジニアは国内での流動性は高まっているかもしれないが、国外との往来が相対的に少ないため、開発手法が日本国内で独自の進化をしていっていることがわかる。あるいは昔から何も変化していないともいえる。

若手のエンジニアは現状ではうまくいっていないと感じているものの、それを変えるだけの流れをつくるまでにはなっていない。マネジメント層でこういう現状を理解している人の絶対数が少ないからであろう。

それでも現状が効率的で競争力のあるものなら何も問題ないが、若手エンジニアの怒涛の残業、休出によって成り立っているのであれば、そこに未来は無いように思う。
posted by りもじろう at 08:40 | Comment(14) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする