2009年12月23日

車売却

車も同じように個人売買のサイトを利用した。車専用の AutoTrader というサイトもある。

最初は価格を高めに設定して様子見で出してみたところ、すぐにおばさんから連絡があった。

「気に入ったので、是非買いたい。銀行に行ってローン組めるか聞いてみるから。」

と言って、デポジットをしわくちゃの現金で置いていった。まぁ中古車の分くらいローンも問題なかろうと思っていたら、翌日おばさんから連絡があった。

「銀行でローンが組めなかった。残念だけど諦める。」

との返事。デポジットは返すと言うと、残念そうに取りに来た。
中古車のローンも組めない状況で、買い替えようとするな。

向かいのおじさんも興味があるとのことで、見せてくれとガレージの中に入ってきた。
早速乗り込む。でかい体で大丈夫かなと思っていると、どかっ!っと壁が削れるぐらい豪快にドアを開けてやがるし。こらー!

次に来た夫婦は「ちょっとハイウェイで運転してみたいがいいか。」という。
出てから、30分ぐらいも帰ってこない。こっちが心配になったころに帰ってきて、

「エアバッグがサイドに付いてないし、思ったより小さいから要らない。」

運転せんでもわかるやろ。ガソリン代返せ。

次にきた公務員夫婦はカナダでは考えられないぐらい細かい人だった。塗装のはがれからタイヤの減りまで細かくチェック。値段を厳しく値切る。

結局、この夫婦に売ることにした。あんまり乗り気にのしない値段だったが、心配性の妻は決まるまで毎日はらはらしていて落ち着かないので、決めてしまった。

まあ、これでもディーラーで売るよりはだいぶいい値段なので、こういう手間も仕方がない。

とりあえず、カナダを出国する前にせっかくなのでレンタカーで東部旅行することにして計画を立てた。最終目的地は、プリンスエドワード島だ。赤毛のアンを毎晩家族で見て予習して、娘たちも気分は盛り上がっていた。
赤毛のアン DVDメモリアルボックス
B0016GISMO
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2009年12月22日

カナダのムービングセール

無事に家が売れたので、次は 3. 家具、車売却 の家具である。

不要な家具や電化製品を処分するわけだが、特に電化製品はカナダとニュージーランドでは電圧が違うので、持って行くことはできない。
アメリカ帰任時と同様、妻がさっさとムービングセール用のサイトを作り、売りさばいていった。
日本からカナダに引っ越したときは、大きなものを個人売買する時間的余裕もなく、結局業者に引き取ってもらったのだが、2年ほどしか使っていない冷蔵庫すら二束三文にしかならなかった。乾燥機なんか、仕方なく廃棄してきたのだった。

それに比べると、北米では大抵のものはムービングセールであっという間に買い手がつく。個人売買のサイトもいくつもあるし。例えば、

UsedCanada.com
Kijiji
Craigslist

オタワ在住の日本人向け情報サイト Jottawa の掲示板もある。

個人売買のサイトをちょっとのぞいてみるとわかるが、日本人的感覚では「こんなの売れるのか?」という物でも堂々と売っている。そして、売れている。
おかげで我が家も処分したかったものは、ほとんど片付いた。面白かったのは、上記の個人売買サイトに掲載すると、平日の日中でも職場のメールアドレスを使ってどんどん問い合わせが来たことだ。明らかに官公庁系に勤務する人からの問い合わせも多く、のんびりした仕事振りが伺えた。軍服であらわれた強者もいたし。

あまりに早く芝刈り機を売ってしまって、庭の芝がひどいことになってしまった。
見かねたお隣さんが、

「シャッター開けておくから、芝刈り機いつでも使っていいわよ。」

と申し出てくれた。ご近所さんには本当に恵まれた家だった。
posted by りもじろう at 08:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | カナダの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月15日

家の売り方

さて、NZへ引っ越すにあたって、次にやることは2.カナダの家の売却である。

まずはエージェント選びが重要である。
不動産のエージェントの広告は地方紙から、看板から色々なところで目に付く。口コミ情報も重要である。
なので、適当に6人ほど連絡を取って、家を見てもらって査定してもらい、販売戦略について説明してもらった。
どのエージェントも基本的にかかる料金は同じである。売却価格の5%をとられる。
ダブルヘッド(売り手と買い手のエージェントが両方自分)である場合だけ4.25%になる、というエージェントはいた。

エージェント毎に戦略は色々であるが大きく分けると以下の3パターン。

1. 広告で売るタイプ
ネット、新聞で、やたらと広告をうつ。金はかけるが手間はかけないタイプ。もっとも多いタイプ。
これだと自分でできそうなので、何のためにエージェントに頼むのかちょっと理解しにくい。
そのため、エージェントに頼まないでプライベートで売る人もいる。
早く売るために査定価格は低め。

2. 自分の名前で売るタイプ
車から町中の看板広告、新聞、テレビで、家よりも自分の名前で売っていくタイプ。こちらも手間はかけないタイプ。
オープンハウス(週末に家を2時間ほど公開する)などもやらず、リクエストに応じて見せるというエージェントもいた。
最初だけは出て来るががあとは部下にやらせるようだ。こちらも早く売るために査定価格は低め。

3. 口コミ、オープンハウス重視タイプ
毎週でも、オープンハウスをして地道にバイヤーに見てもらうタイプ。広告も出すが、少なめ。
エージェント本人の知名度は低い。地域の住宅にチラシを入れたりもする。

オタワはこの不景気にも関わらず、不動産は上昇し続けており、幸い購入価格より10%ほど高い査定価格をつけることができた。
査定価格も一番高く、丁寧な対応であった3.タイプのサラという女性のエージェントに頼むことにした。

この人にやってもらってよかったのは、家のステージングである。
自分の家から家具やタオルや装飾品をどんどん持ってきてくれて、それをうまくつかって、なるべく生活感のないようにステージングしてくれたのである。
さらに、メインのバスルームがなぜかカーペットだったのだが、それでは売りにくいといって自腹で全面タイルにしなおしてくれた。
おっさんエージェントにはないきめ細やかさであった。

ただし、毎週末のようにオープンハウスをするので寒い日でも2時間ほど外に出かけなければならないし、オープンハウスのたびに大掃除をしなければならないのは疲れた。
労力をかけてなるべく高く売るのか、少しぐらい安くても、さっさと売りたいかでこのあたりは戦略が変わってくる。

買いたいという人が出てくると、カウンターオファーを出してくる。こちらからもカウンターを出して最終的な落としどころを探る。
バイヤーの連れてきたインスペクターが鋭い指摘をしていったため、壁、暖炉の煙突など家の修理に数千ドルかかってしまった。やはり家を買うときにはインスペクターを入れるのは重要である。

弁護士を通して、お金と鍵のやり取りをして、完了。

ちなみにこちらが家を買ったときのエントリー。

こちらが家売却時につかった写真。
9.jpg8.jpg7.jpg15.jpg6.jpg5.jpg4.jpg3.jpg2.jpg1.jpg11.jpg10.jpg14.jpg13.jpg12.jpg
これでも写っている部分は半分ぐらい。この家に2年住んでみての反省としては、あまり家が大きすぎると、使わないスペースも多いし、掃除も大変。家具も買えない。
まあ、エージェントにはカナダではミドルサイズって言われたが。

NZではどんな家を買うかな。
posted by りもじろう at 18:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | カナダの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月07日

「会社の辞め方」へのコメント

会社の辞め方 その3」で、shiroさんから非常に含蓄のあるコメントをいただきました。

「会社が可哀想」とか「詐欺」といってる人は、このエピソードから「取れるところからは取ってやれ」、みたいなニュアンスを感じちゃったのでしょうか。日本だと退職にあたって就業規定をこまかく見て弁護士を立てて…なんていうのは珍しいでしょうからそう思われちゃうのかもしれませんね。

でも、感謝することと負担の境界をはっきりさせることは別の話です。時には、感謝している相手に対しても、対等な立場で交渉して線を引く必要があり、そしてまっとうな会社に対して個人が対等な立場に立つには専門家(弁護士)の力を借りることも必要です。ここらへんの区別が、日本社会ではなあなあにされることが良くあるなあと思います。

仕事をしてゆくなかで、「とりあえず」で手続きを曖昧にしたまま物事を進めることは良くありますが、物事が順調に行かなくなった時には前提に戻ってはっきり線を引き直す、という覚悟が重要です。そこをなんとなく流すと、たとえどちらも善意で行動していたとしても、力を持たないものの方が不利になりがちなんですね。

「会社が搾取」と聞くと、会社がまるで悪意を持っているかのように取る人がいますが、搾取というのは善意悪意の有無にかかわらず構造的に生じるものなんで、感情とは切り離して理性的に対応しないとだめです。感情に流されて構造的な問題を放置することは、その構造に間接的に加担していることになります。

ちょっと面白おかしく書いたので、ネガティブに捉える人もいたのかと思う。

組織に頼れず、個人として生きていくしかないことが明確な社会では、日々の生活の中で(訴えるまで行かなくても)この線引きを曖昧にすると、損するのは結局自分なのだ。これを早い段階で見切るべきなのだなあ、ということを今回の経験で感じた。
損というのは、金銭的な意味だけではなくて、自分の生きたいように生きられないことも含めて。

一方、組織ありきの社会では、我慢は美徳になったりもするので、その我慢の継続度は高いのだろう。なので、会社に申し訳ないと感じて、その個人の権利を自ら放棄することも本人の自由だとは思う。

shiroさん、ありがとうございました。
posted by りもじろう at 18:48 | Comment(10) | TrackBack(0) | カナダの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月06日

会社と社員の関係(会社の辞め方 総括)

以前アメリカで2年働いた経験があるが、カナダのベンチャー企業で2年ほど働いてみて、これはまた色々と学ぶことがあった。

カナダの会社ではリストラで1/3の社員のクビを切るというのも大変な経験であった。それまで行け行けで来ただけに、一生懸命がんばっている社員をばっさり切る様子は信じ難いものであった。
(株式公開してキャッシュは十分にあったのに、である。なんと、その後シリコンバレーのベンチャーを買収する余裕があった。)
リストラを受けた辛そう社員たちの表情がしばらく頭から離れなかったが、直後にオフィス近くの寿司屋でCEOとCTOが楽しそうに寿司を(当然経費で)食っているのを目撃したときには、会社への忠誠心は完全に無くなった。

日本のある営業担当は、非常に成績がよかったが、口が悪く本社に対してずけずけとものを言うタイプであった。会社のためを思っての発言ではあったので、みんな言うことを聞いていたが、本社からは実は嫌われていた。
この人は結果を出していたのだが、このリストラであっさりクビになった。

日本のあるセールスエンジニアはすごい働きっぷりだった。朝から夜中まで、週末も含めて何年もまったく休みなく働いていた(勿論残業代や休日手当てなどない)。おかげで日本のクライアントからは非常に好評であった。
ここまで会社のためにがんばるって凄いと私も思っていた。彼はそのリストラは乗り越えたが、その後本社のマネージャーと喧嘩になった後、日本の売り上げ低下の理由にされてクビになった。

これらの経験は私にとっても相当ショックであった。あそこまで必死に働いてくれる人間をこうも簡単にクビにするのかと。
日本市場での失敗は本社の判断ミスにあったわけで、彼らの必死の提言をもっとちゃんと汲んでやるべきだったという思いが私にもあった。こうなってくると会社への猜疑心は深まるばかりだ。

勿論、ここはCEOやCTOが作った会社であり、彼らの集めた金であるためそれを自由に使うのは彼らの権利であろう。雇われ社員はいくら騒いでも駒にすぎないことを実感した。(これはまあ、日本も北米も同じか。)

そういう状況で、日本関係の残務処理をすべて押し付けられた私としては、辞めるときに一矢報いてやれて本当にうれしかった。

そこで改めて思うのは、会社も社員も非常にドライな関係であるということだ。
家族を犠牲にして、自分を殺してまで会社のために尽くす人はほとんど見たことがないし、いても前述の日本人たちのように、だめと見なされるとあっけなくクビとなる。

会社は必要な人材を必要なときに集めて使う。要らなくなったら切る。それだけだ。切るときのために、契約書は会社に有利な内容になっている。それを目くじら立てていると採用されないだけである。
カナダの社員は、会社のそういうアプローチを知っているので、普段から会社からの要求以上のことに深入りしないし、会社に人生を預けたりしない。
そこにあるのは給料、ストックオプション、プロモーションへの期待である。出世すれば次の会社でいいポジションに着きやすいというだけだ。

Javaの有名なフレームワークにSpring Framework(JBoss Seamも)というのがある。オブジェクト間の結合関係を弱くして、変更、追加を容易にするデザインパターンがベースにある。

1. 以前のJavaのコードでは必要な機能を、その機能を使いたい人が、呼び出して、利用するという流れが普通だった。
conventional.jpg
2. SpringによってDI(Dependency Injection)が可能になり、必要な機能を必要に応じて変更、追加して注入することが可能になったのである。
injection.jpg
(Spring in Actionより)

ここで思ったのは、日本企業の雇用スタイルは今でも1が主流であり、北米企業は2が主流になっているのだ。

1では社員オブジェクトの実装手順やロジックを作り上げるのも会社オブジェクトの仕事なのである。依存関係は深くなり、取替えは難しくなる。そのため全然違う機能を無理やり追加実装して、スパゲティコードになるリスクもある。ユニットテスト(評価)もしにくい。

2の雇用関係では会社と社員の間にあるのはインターフェース(契約書)だけということになる。社員クラスのインターフェースには
createProduct()
sellProduct()
などのメソッドがあるだけで、その実装自体は使う側は気にすることはない。テストもしやすい。

2の仕組みはまだまだ日本では受け入れにくいだろうが、北米ではうまく回っているし、滅私奉公によって死ぬような思い(を強制されること)にもならない。
個人は自分のインターフェース(=スペシャルティ)がはっきりしているので、他の会社オブジェクトからも使いやすい(転職しやすい)。

一方で1の会社オブジェクトべったりの社員オブジェクトは機能も不明確であり、会社特有の機能に依存していたりしているため、再利用は難しくなる。精々35歳以下という会社依存性の高い実装が少ない場合だけ、再利用可能となる。

会社の業績がいいとき(ソフトウェアが要求仕様を満たしているとき)は、1も2も大して変わらないが、業績が傾く(仕様変更が必要になる)と1は硬直化していて動きがとれなくなる。そのしわ寄せが社員オブジェクトへかかるのである。(エンジニアに営業とか。)
2は会社にとっても社員(と家族)の幸せのためにも、柔軟で対応しやすい仕組みだと言える。

そのためにはインターフェースの定義(契約書、ジョブディスクリプション)とその正しい運用(誤用されたら辞める、訴える)が重要であることは言うまでもないし、社員オブジェクト側も会社オブジェクトに対して、対等に独立したオブジェクト(POJO)として振舞うことが重要なのである。そこで、会社と対等にやりあう手段が弁護士だったりする。(会社側は当然弁護士を雇っていて、解雇に関して不利にならないように条件をつけている。)

成熟した社会においては、このLoose Couplingがベースになっていることを理解し、振舞うことが重要なのかもしれない。ソフトも就職も。

Spring in Action

1933988134
Spring2.0入門 Java・オープンソース・Web開発自由自在

4774130001
JBoss徹底活用ガイド ーJava・オープンソース・JBoss Seam・JBoss AS

4774133795
posted by りもじろう at 03:25 | Comment(3) | TrackBack(1) | カナダの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月04日

会社の辞め方 その3

すぐにグラハムに面会にいった。

私「クビになってきました。これで移住費用も返さなくていいし、退職金も出たしよかったです。」

グラハム「うん。それは当たり前だ。さて、この契約には問題がある。」

私「一般的な雇用契約書だと思いますが。」

グラハム「まず前も話したとおり、会社側はカナダの退職金に関する規定を君にちゃんと説明していない。」

私「でも、サインしたら理解しているという意味じゃ?」

グラハム「会社側は説明責任がある。理解していないものにサインをさせても無効にできる場合がある。」

私「なるほど。」

グラハム「さらに、彼らにとって最大の失敗は、その日付だ。」

私「ええっと、私がカナダに来て最初に出社した日ですね。」

グラハム「君は、日本にいるときに、本社に雇用されて、会社都合で移住しているね。」

私「はい。まあ、私の希望で移住したんですけど。」

グラハム「会社が費用をもっているんだから会社都合だ。」

私「それが問題ですか?」

グラハム「このドキュメントにサインしているのがカナダに来てからということは、カナダにくるまで解雇条件を知らされていなかったことになる。」

私「そうなりますね。」

グラハム「それまで作り上げた人間関係を切り、子供たちは学校をやめて、荷物を全部送り出して、わざわざ会社都合で移住させられた。
もし解雇条件、ここではカナダの最低基準である給与の2週間分しか保証されないことが事前にわかっていたとしたら、果たしてカナダまで来ただろうか。
法廷でそう話せば、この契約は間違いなく無効とみなされる。」

私「おー。なるほど!しかし法廷でって、大げさな」

グラハム「まあ、法廷で争うことはほとんどなくて、相手が妥協案を出してくるだろう。
通常カナダの慣例では数ヶ月の給与分を退職金として請求できる。君の場合は帰りの引越し費用やその他の経費もだ。」

出された請求書を見ると、さらになんだかよくわからない費用も一杯請求項目に入っている。

私「すばらしい。じゃあ、それでお願いします。」

ちなみに弁護士費用は、かかった時間で時給計算で勝ち負けに関係なく支払う方法と、勝った場合にのみ何割かを弁護士がとっていく方法がある。
私は後者を選んだ。そのほうが弁護士ががんばってくれそうな気がしたからだ。

1週間後、

グラハム「会社が、退職金と規定の引越し費用の上限額を払うと言ってきた。」

私「おお!ありがとうございます!」

グラハム「それで、これ以上の負担は飲めないといってきた。こちらの請求額を全額要求するなら、法廷まで行く可能性があるので、一年ぐらいかかるだろう。」

私「それだけ出るなら十分です。一年も会社が持たないかも知れないので。」

グラハム「まあ、これに家族全員の帰国の旅費相当額ぐらいは追加請求できるだろう。」

私「そうですか。では、お願いします。」

グラハム「確かに会社の経営が厳しいようだから、そのぐらいで受けるのがいいだろう。」

後日、会社側は家族の旅費分も認めるといってきた。
というわけで、移住費用を返すどころか帰りの費用を規定の全額出してもらえることになった。
費用返せという条項がなければ起こらなかったまさかの展開。いやーありがたい。

それにしても、グラハムは顧客ごとに異なる状況で持ち込まれる案件を、的確にかつ、瞬時に(あの、つまらない雇用契約書を見て!)勝敗を判断したのだ。
弁護士業ってすごい。これぞ知的労働という感じである。

グラハム「おめでとう。Good Luck!」

ほれたぜグラハム。





posted by りもじろう at 08:44 | Comment(8) | TrackBack(0) | カナダの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月02日

会社の辞め方 その2

グラハム「ただし、自分から辞めてはだめだ。解雇される必要がある。」

私「クビになったら移住費用は払わなくていいんですか。」

グラハム「勿論だ。」

当たり前である。会社都合の解雇なんだから、会社が更に費用を請求できるわけはない。
それだけの話か!?

グラハム「解雇されたらもう一度来なさい。ただし、雇用契約が不履行になるような不正行為はしないように。」

うーむ。
まあ文句言い続けてだらだらやってみよう。
幸い日本向けの大口のプロジェクトが佳境であり、文句をいってだらけるのにいいタイミングだ。インパクトが大きいだろう。

早速次の日から上司に文句を言いまくる。要約すると、以下の調子だ。

私「いい加減、開発業務に戻れるようになりませんか。」
上司「今は新しいプロジェクトが少なくて、開発案件が少ないんだ。今の君の担当プロジェクトは会社にとって非常に重要なんだ。サポートとドキュメント業務も大切だろう。」
私「翻訳は業者に出すべきでしょう。サポートは本来サポート部隊の仕事ですし。」
上司「会社の経営状況は非常に厳しい。なるべくキャッシュアウトを抑えないといけないのはわかっているだろう。サポートは人が足りないんだ。」
私「デベロッパをそういうのに使うことこそコストの無駄じゃないんですか。サポートが少ないのは人を減らしすぎたからでしょう。そんなにコスト抑えたいなら私をクビにでもして、業者使えばいいでしょう!」
上司「...」
どんな提案だ。

そんな調子で、二週間ほどやりあった。
このころ、前職からもらっている委託開発業が忙しく、さらに顧客の要求仕様が大きくなって来ており、早く辞めたくて仕方がなかった。
おかげで自然と会社に来る時間は遅くなり、早く帰るようになった。会社の仕事なんてしてる場合じゃなかった。
個人的にはすごく忙しいのだが、ぐだぐだモード全開である。そのうち客先からクレームが来るようになった。ああ、これは心苦しい。早くクビにしてくれ!

そしてついに会議室に呼び出される。
上司の顔が引きつっている。いやな緊迫感。人をクビにするのってやっぱり嫌なものなんだろう。

上司「君が今の仕事に満足していないのはよくわかっている。残念ながら君に合う仕事を見つけることはできない。今日限りで辞めてもらいたい。」

私(きたー!)「な、なんですって!」

そこへ人事のおばちゃん登場。
人事「10分で自分の持ち物を整理してください。PCに触ることは許されません。」

私(うーむ。映画のような展開。いつでも辞めれるように個人的なデータは整理済みだ。)「そんな、すぐですか。」

人事「契約のとおり、解雇にあたって2週間分の給与が支払われます。ビザコンサルタントに1時間相談する費用も特別に会社が持ちます。」

たった1時間分かい。もう永住権とれてるから関係ないって。
ダンボールに私物を放り込む。(あー映画みたい)

人事「あなたはバス通勤でしたね。今日はタクシーで帰ってもらってかまいませんので、このチケットを使ってください。」

確かに、ダンボール抱えてバスで帰るのは惨め過ぎるわな。
他の人に知られないように会社を出て行こうとすると、前々から今回の作戦を相談していた仲のいいエンジニアがこっちを見てニヤニヤと笑って小さく手を振っている。

こっちも笑いそうになる。
こら、迫真の演技がばれるやろ。

つづく(感動のファイナルへ)

タグ:会社 解雇 雇用
posted by りもじろう at 11:44 | Comment(2) | TrackBack(0) | カナダの生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする