なぜだか、在職中から知り合いのベンチャーなんかを一生懸命紹介してくれた。
紹介してもらった何社かの日本のベンチャーは、仕事内容は面白そうだったが、なかなか人が集まらないので苦労しているようだった。
そんな話を聞くと、日本ではやっぱり今でもより安定した企業へ就職するほうが一般的なのだろうなあと思う。
そのベンチャーの社長にS部長が勝手に私の話をしていて、先方も
「会ってみましょう」
と言ってくださっていたらしい。
うれしいが、勝手にそういう話を進めないで欲しいぞ、S部長。
S部長自身もアメリカでの仕事を引き上げて、日本に戻ってきていた。
人の仕事の心配より、自分の仕事を心配したほうがいいのだ。
私「自分が行けばいいじゃないですか。」
S部長「子供が大学生でお金もかかるし、今更そういう冒険もできないよ。」
といって、社内で別の仕事を探しているらしい。
私「しかし、この会社が10年後、どうなっていると思ってます?」
S部長「今のままだと思うよ。そんなに急成長もなく。」
私「それはある意味、楽観的な見方ですが、どうしてそう思えます?」
S部長「アメリカの会社みたいなダイナミックなものはまったくない。ないが、社員がやっぱり真面目なんだよな。
そこそこ優秀な大学院出ばっかり集めて、『夢のある製品造りを!』とか言いながら、実際の仕事の大半は雑用だろ?
そんなことを淡々とこなせるなんて、他の国じゃなかなかないんだよ。
アメリカ人の大学院出だったら、あんな仕事させられたら、すぐ転職しちゃうよ。」
私「確かに、最近は新しい技術なんかは大抵アメリカのベンチャーから買ってきてますしね。
とすると、今後も、他社から技術を買って、そこそこの物を、そこそこの価格で淡々と出し続けていくだろう、と?」
S部長「そう。それじゃあ大して革新的なことは起こせないだろうが、生き残ることは出来るんじゃないかな。
最近の人事で、大半の部長、部門長レベルが降格になっているのに、誰も辞めないだろ?アメリカじゃ考えられない話だ。」
自分もアメリカから撤退してきた身だしな。
確かに今までそうやって生き残ってきたのは確かである。
さて、今後もそれが通用するのかどうか、だ。
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